中医の雑記

中医治療の適応範囲について②

中医の適応症について

中医の適応症は、中医の治療方法が広いため、その範囲も広くなります。

多く使われている者から述べると

1婦人科疾患

生理痛など月経期周囲症状、冷え症、更年期障害の諸症状、不妊症、出産後の不調などは、漢方薬・鍼灸が有効です。

体を温めたり、気を流す、体の熱を降ろすなどの思考を用いた方法を使います。今も昔も子供がいることが宝であり、後継を求めることが多い気ことから、婦人科疾患に関する治療は多くなされています。

2不定愁訴

中医の強いところでもあります。心療内科的な不眠や不安、疲労感や体力低下、むくみなど体の代謝から来る症状もあります。漢方薬を使い、気を補い、気をながすような治療をします。

3消化器疾患

日本人で相当数の方が、現れる症状群です。胃痛、下痢、便秘など、昔は虫垂炎つまり盲腸にも漢方薬が使われていました。

4呼吸器疾患

長く続く咳や喘息、風邪症候群、花粉症など。年齢や天候により治療方法が異なっていきます。

5皮膚科疾患

肌のトラブルやアトピー性皮膚炎など。最近は美白美肌で、ロバの皮(阿膠)やハトムギを使った生薬とか、美容鍼、カッサなども使われています。

6運動器系疾患

急性・慢性腰痛、頚椎腰椎ヘルニア・坐骨神経痛・脊柱管狭窄などの神経痛のシビレ、五十肩、テニス肘などの運動や姿勢を起因とする症状は、あんまや鍼灸をメインで使い筋肉を緩めて、漢方薬で血液循環を高めることで、状態の持続を可能とします。

7代謝内分泌疾患

糖尿病、橋本病、バセドウ病、貧血など。

8生殖、泌尿器系疾患

男性不妊、性機能障害、膀胱炎、夜間尿など。

9耳鼻咽喉科系疾患

耳鳴り、鼻炎、咽頭炎、難聴など。

10循環器疾患

頭痛、不整脈、脳卒中後遺症による麻痺症状、狭心症など。

11小児科疾患

夜泣き、消化不良、小児ぜんそくなど。漢方薬をお母さんに飲んでもらい、子供に授乳する方法や、小児のあんまもあります。

 

以上が中医での適応症ですが、一部の例を挙げたのみで、その他の疾患にも対応をしています。

現在漢方薬は、古来からの煎じ薬や丸薬、散薬などがありますが、現代では成分抽出されたエキス剤などもあります。近所の薬屋ではOTCの漢方薬も購入ができます。エキス剤は携帯に便利ですが、古来の煎じなどの方法に比べると、効果としては弱くなる傾向が見られると言われます。

ただ、煎じ薬などはその手間がかかるのと、匂いや味などで挫折される方がいます。そこは「良薬口に苦し」だと思って、エキス剤でも良いから飲んでいただきたいですね。

 

鍼灸治療について

鍼灸治療は日本国内ですと、受けられる多くの方、あるいは受けられたことのない方も考えられるのは、肩こりや腰痛などの筋肉の疾患にしか効果がないと思われています。実際は、その考えとは大きな隔たりがあります。

少なくとも古来より中国では筋肉などの整形外科的疾患以外にも、内科や皮膚科、外科、精神科、眼科、歯科などの幅広い疾患に用いられていました。今日においては、WHOより11系統の疾患にわたり有効性がありえるとされています。

【神経系疾患】神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー

【運動器系疾患】関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・骨折、打撲、むちうち、捻挫などの外傷の後遺症

【循環器系疾患】心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ

【呼吸器系疾患】気管支炎・喘息・風邪および予防

【消化器系疾患】胃腸病の胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘など・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾

【代謝内分秘系疾患】バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血

【生殖、泌尿器系疾患】膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎

【婦人科系疾患】更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊

【耳鼻咽喉科系疾患】中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎

【眼科系疾患】眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい

【小児科疾患】小児神経症では、夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠など・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善

 

実際の臨床においても多く見られる疾患であり、古代からもそれらの疾患に対して治療は進められていました。また急性・慢性関わらず昔も今もその治療は行われています。

この様に、実際に中医は広範囲の疾患に対して有効であり、古代から現代までの経験の蓄積が効果に結びついています。ここから考えられる様に、中医は総合診療に近い性質を持っています。

予防医学

そして中医のもう一つの大きな点は、「未病治」。名の通り「未だならぬ病治す」、つまり予防医学の側面を持つという事です。その「未病治」の中に薬食同源という考えがあり、気功などの運動療法や、心理療法が含まれています。

そもそも、人という小宇宙の調和が崩れるのは、自分自身の起居や食生活、姿勢などが不規則になることであり、自らが引き起こす病が多くなるからです。外気などの影響も、風邪になりやすい人、なりにくい人がいる様に、その状態を決定付けるのは、自身の状態次第です。

中医に携わる者たちは、体の状態により漢方薬を使うか、鍼を使うか、薬酒を飲むか、食事を調節するか選択することで、患者様たちが健康な生活ができる手助けができました。

さて、中医の不適応の疾患とはを最後に述べたいと思います。不適応な疾患は、特に手術の必要な疾患であり、現代医学の治療をすることをお勧めします。あるいは、状態に応じて併用していくことも大事な選択肢です。

いずれにしても、手術などの症状になる前に、「未病治」をすることで病を少なくし、長生きして、楽しい生活が送れることが、最高の治療になることを、皆さんが覚えて頂ければ嬉しく思います。また、この様な素晴らしい医学があることを、知って頂けたことに感謝を述べ、締めくくりとさせていただきます。

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